グリオーマとは脳のがんなのですか?
患者さんとの相談のなかでよく質問されます。
グレード1なら脳腫瘍が原因で生存が脅かされることはありません。よって「良性」と考えても良い腫瘍です。
グレード2の場合、組織の診断、遺伝子(IDH1、1番19番染色体の欠失)のタイプにより3通りに分かれます。多くの場合は腫瘍の成長はゆっくりです。特に1番19番遺伝子の共欠失(1p19q LOH)がある乏突起膠腫では、腫瘍自体の成長がゆっくりで、かつ腫瘍が増大してもそこで治療を行う(治療介入と呼びます)ことで、さらに成長を遅らせることができます。 しかし、IDH野生型の診断の場合にはグレード4に近い速度で成長するものや、早期にグレード4に変化してしまうものもあります。
グレード3の場合、グレード2と同様に大きく3つに分かれます。治療の基本はグレード4に準じた放射線化学療法を行います。これがよく効き、グレード2と同様の成長になるものから、治療を行っても早期に悪くなってしまうものもあります。どのような治療がより有効なのかを調べる臨床試験が世界中で行われている疾患群でもあります。
グレード4の場合、まだ有効な治療方法が見出されていない膵臓がんや肝臓がんと同じように5年生存率10%に満たない予後の悪い腫瘍です。
このように、治療成績は診断の内容によって大きく異なります。また、手術での摘出率も治療成績に影響する腫瘍でもあります。これから治療を受けられる方には、幅広い選択肢の中から「良いシナリオ」「悪いシナリオ」を想定します。特に過去20年のデータベースから算出された治療のパターンに応じての治療成績をお話しし、病気について考えていただくようにしています。
個々の施設での経験やデータの蓄積から出された成績は、直接お会いして相談するなかで語られます。webでの検索でヒットする一般的な病気の情報だけでは語れない、様々な治療の選択肢があります。
Google検索での結果をうのみにせず、直接医師とお話ししながら方針を考えることをお薦めします。
特に、手術が難しいといわれたとしても、まずはご相談ください。
症例に応じて女子医大と宇都宮の両施設で手術と治療を行っています。
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写真は比叡山延暦寺の敷地内横川エリアの中心となるお堂 横川中堂 です。
しばらくお休みしていたブログですが、再び少しずつ情報を発信していきます。
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