​肺がん脳転移を考えるための基本の知識
 
治療を相談するために知っておきたい肺がんのこと

肺がんに使われる薬物治療の種類

・薬を使った治療には、殺細胞性の抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3種類があります。

・殺細胞性の抗がん剤は、プラチナ製剤(シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン(CBDCA))、トポイソメラーゼ阻害薬(イリノテカン(CDT11))、代謝拮抗薬(ペメトレキセド)、微小管作動薬(パクリタキセル)などが使われます。

・免疫チェックポイント阻害薬は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体があります。

・分子標的薬では、血管新生阻害薬、EGFR阻害薬、HER2阻害薬、マルチキナーゼ阻害薬などがあります。

 

肺がんの遺伝子異常(ドライバーミューテーション陽性肺がん)

・肺癌の7割に発症の原因となった遺伝子異常(ドライバーミューテーション)がみつかるといわれています。

・腺がんに限ると約50%にEGFR変異、約5%にALK転座がみられるといわれています。ROS1転座は非小細胞性肺がんの1~2%で、ほとんどは腺がんにみられます。ROS1転座、ALK転座は若年者、非喫煙者に多い傾向があります。

・BRAF変異は非小細胞性肺がんの1~3%に見られ、V600E変異とnon-V600E変異がそれぞれ半数ずつを占めます。

・BRAF V600E変異は腺がんで喫煙者に多い傾向にあります。

 

・ドライバーミューテーションが見つかった場合には、有効な治療手段があります。遺伝子診断が行われることで治療成績が良くなりました。

 

 

 

ドライバー遺伝子陰性肺がん PD-L1≧50%の場合

・ドライバー遺伝子の異常がなくても免疫診断(PD-L1陽性細胞が50%以上)にて有効な治療がある方もいます。

・PDL-1陽性細胞が50%以上の非小細胞性肺がんの場合、ペンブロリズマブ(キートルーダ)とプラチナ製剤併用化学療法とを比較する第III相試験(KEYNOTE-024試験)の結果、無増悪生存期間(PFS)、生存期間(OS)、奏功率のすべてでペンブロリズマブが優っていました。よってペンブロリズマブ単独治療が一次治療として推奨されることになりました。

・PDL-1の発現に関係なく、以下の2つの試験が行われ、PFS・OSともに有意に延長が見られたために、プラチナ製材併用療法にペンブロリズマブ(PD-1阻害薬)またはアテゾリズマブ(PD-L1阻害薬)を併用することが推奨されました。(肺癌診療ガイドライン2019年度版)

KEYNOTE-189試験; シスプラチン(CDDP)/カルボプラチン(CBDCA)+ペメトレキセド(PEM) + ペンブロリズマブ

 

Impower150試験;カルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)+アバスチン(bevacizumab) + アテゾリズマブ

 

 

ドライバー遺伝子陰性、PD-L1<50%もしくは不明

KEYNOTE-189試験、Impower150試験ともにPD-L1低発現でも有効な結果となりました。よって、PD-L1低発現であったとしてもプラチナ製剤併用化学療法±PD-1阻害薬/PD-L1阻害薬が推奨されるようになりました。

 

1.               D'Antonio C, Passaro A, Gori B, et al. Bone and brain metastasis in lung cancer: recent advances in therapeutic strategies. Ther Adv Med Oncol 2014;6:101-14.

2.               Bearz A, Garassino I, Tiseo M, et al. Activity of Pemetrexed on brain metastases from Non-Small Cell Lung Cancer. Lung Cancer 2010;68:264-8.

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