がん脳転移の治療の考え方の基本

​治療方針を考える原則について説明します。

年齢や体の状態、これまでの治療、などを組み合わせて考えます

・脳転移の個数、大きさ、場所が大事です。

 

・自分の身の回りのことがどれだけ自分でできているのか を数字で表すのがパフォーマンスステータス(PS)といいます。これも治療方針を決めるのに大事です。

・PSでは0~4までに分かれます。これをさらに細かくしたのがカルノフスキー パフォーマンスステータス(KPS)と言います。

 

・治療内容を決めるためには、このPSに加えて年齢、転移の場所、周囲のむくみ(浮腫)の状態、これまでの治療の内容、などを参考にします。ひとつひとつが点数で表され、治療の効果や成績を予測してくれます。

 

転移の大きさ

・安全に放射線治療を行うためには、直径3㎝を目安にします。

・理由は、3㎝前後になると脳のむくみ(浮腫)や圧迫による症状を起こしやすくなります。この大きさになると、けいれん発作も心配します。

・3㎝を超えると、放射線治療のあとに生じる浮腫が広い範囲の脳に影響することを心配します。

・安全に生活を続けるためにも、できれば3㎝未満のサイズのうちに放射線照射を行っておきたいですね。

 

3㎝を超える腫瘍の場合

・体調や体力がゆるせば手術による摘出が推奨です。

・手術を行うかは先に述べたPS、年齢、今後の病状の予測値(予測生命予後)を参考にして検討します。

・3㎝を越えるまで症状をださずに大きくなれた、ということは手術で取れる可能性が高い ということでもあります。

​・がんの脳転移の手術の難易度はそれほど高くはありません。 術後10日程度で退院になりますし、脳の腫れも速やかに消失します。これにより、次の治療に早期に移行することも可能になる場合は多いです。

3㎝を越えているが、手術が難しい場合

・体調や年齢、体力などから手術は難しい場合もあります。

・しばらく前には 全脳照射 が選択されていました。

・最近の治療方法の開発により、定位放射線照射による分割照射が選択されるようになりつつあります。

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転移の個数

3個を目安に考えます。

しばらく前は3個を超えると全脳照射が行われました。最近では定位放射照射で治療ができるようになりつつあります。

なぜ全脳照射ではないの?

かつては脳に転移したら治療は終了、生きられる期間の予測は約1年というのががんの脳転移でした。

治療法が改良され、がんが脳に転移をしても多くの方が2年以上の生存が可能な時代になりました。すると、後遺症が少なく、短期間で治療が完了できる治療が選択されるようになりました。

なるべく少ない回数で放射線照射を行う’定位放射線照射’が選択されるようになりました。

全脳照射の一番の副作用は脳の機能低下です。

・高次脳機能の障害、わかりやすくいえば 記憶力や認知、判断などの’認知症’のような症状を起こす可能性があります。

・それでも全脳照射が必要な方には、2018年頃から海馬(記憶をつかさどる脳の領域)を避けた照射が行われるようになりました。 →詳しく知りたい方はこちら

3個未満の場合

・治療の基本は定位放射線照射です。 ガンマナイフ、サイバーナイフ、ZAPという手段があります。

​→新しい治療装置 ZAP

・基本の流れは 治療前検査(1日)→治療(約1時間)→1か月後検査 になります。(ご心配な方は治療1週間後に診察を行います) @@ポンチ絵

 

一度にすべての病変を治療できますので、あとは3ヶ月に一度MRIを撮りながら経過観察を行います。

照射後にむくみ(浮腫)がでることがあります。少量の予防薬を処方しますが、行われている治療(化学療法、免疫療法)の内容によっては予防薬は処方しない場合もあります。

(これまでの治療、今後行われる治療などがわかるととても助かります)

→ 詳しい解説

3個以上の場合

5~10個では

・定位放射線照射または全脳照射が選択されます。

(日本の複数のガンマナイフ治療施設で前向きの調査が行われ、定位放射線でも治療は可能との結果が報告されました。)

・定位放射線の場合、一度で全てに治療すると時間が多くかかります。複数回に分けて照射するなど工夫して治療計画を立てます。

・早くに症状を出しそうな病変、サイズが大きめな病変から治療を開始します。これを選ぶのが脳外科の役割でもあります。脳の場所、その場所の脳の機能を基に選びます。

・もしも効果が予測できる化学療法(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬)がある場合には、最初の照射から治療を開始し、薬の効果をみながら残りの病変の照射を考える という方法が始まりつつあります。

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10個を超える場合

・全脳照射とともに、薬剤による治療が選択されます。

・全ての病変にダメージを与えるためには全脳照射しかありません。

がんの種類によって、化学療法がよく効くタイプのものもあります。

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また、乳がんなど放射線感受性の高いがんと 効きにくいがんとでは結果が異なります。

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